商品先物取引の価格情報・レポート・市況・需給データ「日本ユニコム」
日本ユニコムこのレポートは平成22年12月25日(金)8:45〜9:00に、ラジオ日経「世界経済ダイヤル」で放送されたものをまとめています。
1.今週は国際商品相場の動向と来年の見通しについて伺って参ります。マーケットアナリストの菊川弘之さんです。まずは、今年一年の振り返りからお願いします。
リーマンショック直後は、他のリスク商品同様、キャッシュ化に伴う下落となりましたが、世界各国の景気対策・金融政策、特に金利低下に伴う過剰流動性相場で、戻り足が強かったのが金・粗糖などでした。それぞれ史上最高値更新、28年ぶりの高値となりました。これらの銘柄に対してファンダメンタルズが弱かった穀物・原油などは上値が抑えられた1年となりました。
2.金相場が史上最高値を更新した背景は何だったのでしょうか?
リーマンショック以降、基軸通貨としてのドル・米国経済に対しての不安感、さらにユーロ圏に対する不安感もあり、通貨全般に対しての代替として買われる展開となりました。ただし、1000ドルが上値抵抗として夏頃までは意識されていました。この三角保合いを上に放れたきっかけになったのが、世界最大の鉱山会社バリック・ゴールドのヘッジ全量買戻しの報。さらに、IMFが売却予定403.3トンの約半分にあたる200トンをインドに売却。市場に直接出回らなかったことに加えて、中国やインドがこれに続くのではないかとの思惑もあり、大幅続伸となった。
中国が8-10年以内に外貨準備の中で金を1万トン買い増すべき。3-5年以内では6千トンという要人発言が日経新聞等にも掲載され、中央銀行の金準備積み増しも材料視されましたが、アジア各国中銀による外貨準備における金の保有率を高めようとする動きは継続すると見る。
CFTC建玉規制が穀物や原油中心になされたことで、規制の緩い金へ資金が流入した側面も。今まで金への投資を行っていなかったファンド・年金なども参入。
12月にはバリック・ゴールドのヘッジ買戻し完了の報を受けて、一時的に押したものの、すかさず買いの手が入りました。これは、月が変わり、月初に新規ポジションを入れてくる傾向のある「買い主体」のファンド(年金等)の買いが勝った。WGC四半期報告でも確認されているように、宝飾需要を投資需要が上回る状況下、価格の方向・水準は投資マネーの動きが大きなファクターとなっています。
2009年は「セーフへブン(安全資産への逃避)」としての資金流入が顕著となったが、12月初旬の史上最高値更新以降は、強気の米雇用統計を受けて出口戦略も意識され、クリスマスに向けてのポジション調整、ドル買戻し(ドルキャリー解消)などから、金も調整局面入りとなっています。CFTC建玉明細によると、金の大口投機玉の買い越しは過去最高水準でした。
3.来年の見通しは?
出口戦略が成功し、過剰な資金供給が解消され、順調な景気回復と共に金利が徐々に上がってゆく(良い金利上昇)なら、ドル・米株上昇、金利がつかない金(GOLD)は売られるだろう。これが、サブ・シナリオ。この場合、米国の財政悪化(ドル売り)から、次のテーマとして日本売り(株安・円高)に焦点が移る可能性もあるがサブ・シナリオの確率は低いと見る。
2008年第4四半期~2009年第1四半期は、金融危機で最もダメージを受けた時期に当たるが、それだけに2009年第4四半期、2010年第1四半期の各経済統計は前年比ベースでの伸び率が高くなることが囃される可能性があるものの、メイン・シナリオは、金融危機は後退したものの2010年は財政問題が浮上していくと思われ、出口戦略の困難さから株価の2番底形成により、金が980ドル~1000ドルを下値支持として50ドル刻みの上値をトライする流れを予想する。アフガンの増兵が決まったが、第二のベトナム化する可能性があることや、中間選挙に向けて政治圧力が掛かり易いなど、出口戦略には困難が多いと見る。
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