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金の基礎知識

  1. 商品特性

    金には、展性・延性に優れ加工しやすいこと、熱・電気の伝導性が高いこと、空気中や水中では腐食したり変質したりすることがないという物としての特徴があります。しかし、もっとも重大な性質は、品質が均一で分割しても価値が損なわれず、それ自体が高い価値を持つということです。

    また、現在地上に存在する金は約12万トン程度とされており、このように希少な金属であるという点も金の価値の根源の一つになっています。もちろん絵画や彫刻など金より高い価値を持つ物はありますが、多くは分割や輸送が出来なかったり、金ほど容易に各国で流通はしません。融点が摂氏1063度と高いこともあって普通の火災では損なわれることがなく、溶解しても価値が変わらないことから最終的な財産として利用されています。

  2. 需要

    金はその光沢の美しさや希少性から、宝飾用に使用されます。また、古来より通貨及びその保証のために使用されており、各国で共通の価値で流通されているため、退蔵や投資用に使用されています。金の物質としての特性から、集積回路や半導体などの電子工業用にも欠くことが出来ません。

    宝飾需要は金需要における最大需要分野で、加工用需要の8割以上を占めています。他の需要としては工業用需要が上げられますが、その割合は比較的小さいものになります。歯科用には強度の問題から白金系金属のパラジウムなどとの合金が使用されています。

    実質的な金の最大消費国としてはインドが上げられるでしょう。同国は1990年代の段階的な金市場自由化以降、経済の発展とともに着実に需要を伸ばしています。

    他の東アジアの国々もその経済や政治の情勢から消費を増大させています。金の流通が規制されていた中国でも、WTO加盟をきっかけに金市場の自由化を進めており、インド同様に需要の急拡大が予想されています。

    中東ではサウジアラビア、トルコなどが主要消費国となりますが、その他の国々でも規制の緩和や国民所得の増加を背景に消費が増加しています。

  3. 供給

    金の供給は、鉱山での生産、二次供給、公的機関の売却、鉱山会社のヘッジ売り、退蔵放出などがあります。生産国としては南アフリカ、アメリカ、オーストラリア、ロシア、カナダなどがあります。

    世界の主要金鉱山分布

    鉱山生産において、世界最大の産金国は南アフリカで、同国内の鉱山のほとんどがオレンジ州とトランスバール州にまたがるゴールデン・アーク地帯に集中していますが、現在では産出量は減少傾向にあります。これは南アの金鉱の深度は3000メートルを超えるものが多く、それに伴う設備投資の増大によって生産コストが増大しているほか、落盤事故の危険性も増しているためです。ただ世界的に金業界は再編が進んでいるため、鉱山会社の経営が改善されれば再び生産量を増加させてくると考えられています。

    米国・カナダ・オーストラリアは南アフリカよりも鉱山の深度が浅く、また、鉱石品位の良さもあって生産コストが南アフリカより低いことが特徴です。また、資金力も豊富なため産出量も安定しています。米国の鉱山はネバダ州に集中していて、カナダはオンタリオ州からケベック州にかけて、オーストラリアはウエスタン・オーストラリア州西部に集中しています。

    中南米では北米資本の参加によってペルー、チリ、アルゼンチンなどで鉱山が開発されています。東南アジアではインドネシアやパプア・ニューギニアの生産が伸びたほか、中国の産出も増加しています。近年では旧来の産金国がコスト増や社会情勢の変化から産出量の伸び悩みを見せているのに対して、新興産金国の台頭が目立ちます。これは、資源保有国が積極的に外資を導入したことや、大手鉱山会社の寡占化が進み、大規模鉱山の操業が開始されたことが背景にあります。

    ロシアはかつて大量の売却をしたことがありますが、現在は大きな売却は見られません。過去の売却は在庫を切り崩したもので、生産高の大きな変化はないと見られています。

    次に、金の二次供給ですが、これは各種金属スクラップからの供給のことです。金価格の変動に敏感で、金の国際価格が上昇すれば増加し、下落すれば減少する傾向があります。

    また、最近は国際通貨基金(IMF)が金売却を検討するなど、金準備を保有している公的機関の金売却も無視できない要因となります。1999年9月末に欧州15カ国間でワシントン協定が締結され、5年間の年間金売却総量を400トンに抑えることで合意に達しました。さらに2004年3月には同協定がさらに5年間更新されることが決定し、金売却の上限も500トンに増やされました。ただし、売却枠が未消化のまま終わるという見方が多く、今後の欧州各国の動向が注目されています。

    金鉱山会社は金の貸し借りが出来るリース市場で金を借り入れ、先渡し(フォワード)売りに回して資金を得ます。ここで得た売却益が金の生産の資金に回され、生産された金がリース市場に返済されます。こうした仕組みをゴールドローンといい、金鉱山の主要な活動の一つとなっています。リース市場で金を貸し借りする金利(リースレート)は金需給の指標の一つとして利用されています。ただ、最近の金価格の上昇により、鉱山会社のヘッジ買戻しが進んでいるため、ヘッジは需要項目の一つとして数えられるようになっています。

  4. 流通

    金地金の加工では特にスイスが有名ですが、現物取引の中心は英国のロコ・ロンドン市場になります。これは実際に市場があるわけではなく電信で24時間(週末を除く)取引されますが、現物をロンドンで引き渡すことが前提とされています。

    先物ではCOMEX(現在ではNYマーカンタイル取引所の一部門)が最大の取引所です。さらに日本の東京工業品取引所もその取組量から無視出来ない要因となります。

    国際金市場は時差の関係から東京市場が終わってからロンドン市場が始まり、その後ニューヨーク市場が始まって、あと東京市場に戻るという具合に24時間休むことなく動いているため、国際情勢をその価格に敏感に反映させます。

  5. 変動要因

    金価格は1944年のブレトン・ウッズ体勢発足から1971年のニクソン・ショック(金とドルの兌換停止)までは1トロイオンス(約31.1035グラム)=35ドルに固定されていました。その後、通貨制度が変動相場制に移行したために金の価格もまた変動するようになりました。

    その後1970年代のオイルショックに伴うハイパーインフレや中東戦争緊迫化、さらにソ連のアフガン侵攻などを背景に金投資が活発化したことで、80年初頭に史上最高値をつけました。その後は産金国の増産や売却増に金市場は軟化を続けましたが、冷戦終結と新興需要国の台頭などから需給の関係が変化したためにその様相も変わり、さらに、2001年の米同時多発テロをきっかけとした米国の対テロ戦争や、日本のペイオフ解禁により金投資が復活してきました。

    近年では、イラク戦争やイラン・北朝鮮情勢の緊迫化による地政学リスクの高まり、原油価格高騰によるインフレ懸念、金ETFの拡大、さらに米国双子の赤字を背景にしたドル安の影響を受けて、金価格の上昇が続いています。

    金価格を決定する要因としては第一に需給の関係が重要ですが、他にも、景気、インフレ、金利、株式・債券の動向、国際的な政治経済の動向、ファンド・マネーの動きなどが注目されます。先行指標としては北米や南米の金鉱山会社の株価の推移が上げられます。

    また金に特有の現象として、冷戦終結などによってなりを潜めていた『有事の金買い』が、最近になって再び金の人気を押し上げる局面が見られるようになりました。

金地金売買価格(キロバー建て)
2月7日 10時現在参考価格
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