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商品別基礎知識【大豆】

大豆の基礎知識

  1. 商品特性

    大豆は、日本人の食生活には欠かせない農産物であり、豆腐、味噌、納豆などの食品に利用されています。ただ、世界的に見ると、食品としての需要はわずかで、大部分は搾油用として使用されています。一般に食品用の方が高品質で価格もより高くなりますが、多くは搾油用に栽培されています。

    近年ではバイオ技術による品種改良(遺伝子組み換え)なども行われていますが、環境に影響を与える可能性があり、安全性の問題が浮上しています。今後、遺伝子組み換え大豆に対する規制が強化される可能性があり、その動向が注目されています。

    国内では、アメリカ産大豆である一般大豆、アメリカ産の非遺伝子組替え大豆であるNon-GMO大豆、さらに大豆を搾油したしぼりかすである大豆ミールが上場されています。

  2. 需要

    大豆の用途は大豆油、大豆粕、食用の3つに分かれます。

    加熱した大豆をヘキサンという薬品に浸して、大豆油と大豆粕が作られますが、この作業を圧搾と言います。この需要は収穫期に拡大するものの、季節的な増減はあまりありません。1ブッシェル(60ポンド)の大豆から大豆粕48ポンド、大豆油11ポンドが生産されると言われていますが、この量は大豆の品質、工場の効率によって変化します。CBOTに上場される大豆油・大豆粕の価格の歩留りから大豆価格を引いたものをボードマージンといい、大豆圧搾の採算性の指標となります。採算分岐点は40セントと言われますが、各工場の採算効率や販売戦略からボードマージンの変化が急に圧搾高に影響することはあまりないようです。

    大豆粕はそのほとんどが配合飼料の材料として使用されますが、長期保存は出来ないため飼料需要の増減が圧搾高に大きく影響します。養鶏用に多く使用され、次いで養豚、肉牛、乳牛用の順に使用されます。そのため鶏の飼育頭数が需要に大きく影響するほか、冬期は飼育動物が寒さに耐えられるように飼料を多く与えるため需要が増加します。また、熱波や長期の寒波で飼育動物の死亡率が増加すると大豆粕の需要は減少します。

    大豆油は植物油の中ではもっとも多く生産され、サラダ油、料理油、フライ用、マーガリン用など主に食用油として使用されています。また、近年では再生可能燃料であるバイオディーゼル用としても注目が集まっています。

    米国は最大の大豆生産国であり、欧州や日本、台湾へ輸出を行っています。

    欧州は世界最大の大豆輸入地域で、オランダ、スペインの輸入が中心です。農業への保護政策や米国との交渉などから輸入数量が変化します。また、大豆製品の輸出も行われています。

    日本は単独では世界最大の大豆輸入国で、約8割を米国から輸入しています。食用の割合が多いのが特徴で、その割合は大体、圧搾8に対して食用2の割合になります。

    台湾は単独では世界で3番目の大豆輸入国です。ただ、パーム油との競合などから輸入量は頭打ちとなっています。

    近年では、これらの輸入国・地域で遺伝子組み換え穀物の輸入を規制しようとする動きがあります。特に、欧州や日本のような大きな市場では、遺伝子組み換え大豆が受け入れられるかどうかは大きな影響力を持つ問題となります。

  3. 供給

    大豆の生産量は作付面積と作付後の天候に左右されます。作付期の長雨とその後の乾燥天候が生育に悪影響を与えることがあり、特にエルニーニョ現象に続く干ばつの被害が記憶されています。経験則から言えば、夏期の干ばつは深刻な影響を与えることが多いようです。反面、品種改良などから早霜の被害は減少しています。

    また、政府の輸出支援や農業政策の変化も農家の生産意欲に影響します。

    大豆の主要な生産国は米国、ブラジル、アルゼンチン、中国、カナダなどです。

    米国大豆州別ベスト5

    米国は最大の大豆生産国です。また、遺伝子組み替えによって作られた品種が、最も普及している国でもあります。その生産地は中西部のコーンベルト地帯が中心で、イリノイ、アイオワ、ミネソタ、インディアナ、ミズーリ、オハイオの各州に集中しています。さらにコーンベルトにはネブラスカ、サウスダコタ、カンザス、ミシガン、ケンタッキー、ウィスコンシン、ノースダコタの各州が含まれます。

    次にデルタと呼ばれるアーカンソー、ミシシッピ、ルイジアナ、テネシーの4州が続きます。また、南東部と呼ばれるノースカロライナ、サウスカロライナ、ジョージア、アラバマの4州でも栽培されています。ただ、コーンベルト地帯に比べてその作付は少ないです。

    これらの耕地はコーンと重なるために、天候要因などからコーンの作付が減少した場合に、代わりに大豆の作付が増加することがあります。また、一部では大豆とコーンの輪作も行われています。

    生育の第一段階は播種・生育期で、期間は5月中旬から6月中旬にかけてとなります。播種後、だいたい2週間程度で発芽します。華氏50度以下の低温や過度の土壌水分、乾燥が生育の障害となります。

    第二段階は開花・受粉期で、期間は7月から8月にかけて、40日ほどとなります。この時期に高温ないし乾燥の影響を受けると花が落ちてしまうことがあります。また、開花の20日前ぐらいから日照時間と気温の影響があります。

    第三段階は着莢・結実期で、期間は8月中旬から9月中旬にかけてとなります。この時期の天候が与える影響はもっとも大きく、雨量と適切な温度(日中華氏80度台、夜間60度台、平均75度が理想的)が必用とされます。9月に入り成熟期となると早霜の被害で生育が止まってしまうことがあります。

    第四段階は収穫期で、期間は9月中旬から12月中旬にかけてとなります。この時期の降雨は、収穫作業の遅れや品質の低下につながることがあります。

    ブラジルは米国に次ぐ大豆生産国で、南半球にあるためその生育時期は米国と大きく異なり、米国の作柄や価格によって農家の作付意欲が変化します。また、米国よりも天候による影響を受けやすいのも特徴です。

    産地はウルグアイ川の流域で、リオグランデドスル州、パラナ州、マトグロッソドスル州、マトグロッソ州に集中している。特にリオグランデドスル州、パラナ州が中心で、この2州の動向が注目されるが、品質ではマトグロッソドスル州など北部産地の物が搾油用に高く評価されています。

    播種・生育期が10月から12月、開花・受粉期が12月中旬から1月、着莢・結実期1月中旬から2月、収穫期が2月中旬から5月中旬です。

    アルゼンチンは小麦の跡作として栽培できるので大豆の人気が高く、政府の保護政策もあって生産高が増加しました。

    産地はコルドバ、ブエノスアイレス、サンタフェの3州に集中しており、肥沃な平原で栽培されていますが灌漑施設がなく、生産への天候の影響は大きくなります。

    播種・生育期が10月中旬から12月、開花・受粉期が12月中旬から2月、着莢・結実期1月中旬から2月、収穫期が2月中旬から5月です。

    中国はもっとも古くからある大豆生産国ですが、戦後は他の生産国の台頭によって世界生産に対する割合も減少しました。食用としても多く栽培され、その品質が評価されています。

    多くの地域で栽培されていますが、その中心は東北3省といわれる、黒竜江省、遼寧省、吉林省で、中国の全生産の5割を占めます。中でも最北の黒竜江省の生産高が大きく、中国の全生産の3割を占めます。また、輸出向け大豆のほとんどがこの東北3省で生産されます。あと、黄河、准河、海河流域の江南省北部、山東省、安徽省北部、江蘇省北部、河北省も主要な産地となります。中国大豆の生育は米国とあまり変わりません。また、豚や牛肉消費向けの家畜飼料需要の拡大に国内の大豆作付面積の減少が加わって、今では完全な輸入国となっています。

  4. 流通

    米国の農家は近年、先物市場の利用を含めて価格の動きに鋭敏となっています。そのため、短期の需給に対して農家の売却状況は注目されます。

    農家から出荷された大豆は普通サイロに集められます。カントリーエレベーターは1,000-3,000トン程度のサイロで、穀物生産地帯に散在します。個人企業や農協組織、穀物メジャーなどが所有し、農家から穀物を直接買い取り、大規模なサイロに売却します。穀物の輸送にはトラックや貨車が使用されます。非遺伝子組み換え大豆の分別は、こういった集荷の段階から行われ、貯蔵や輸送も一般の大豆(遺伝子組み換え・非遺伝子組み換え混在のもの)とは区別されて行われますので、その分コストが割高となる傾向があります。

    サブターミナルエレベーターは5-10万トン程度のサイロで、イリノイ河、ミシシッピ河の川岸や交通の拠点に位置しています。カントリーエレベーターやグレインディーラー(穀物仲買商)から穀物を買い取り、さらに大規模なサイロや輸出用サイロ、国内製油メーカーなどに売却します。また、サブターミナルエレベーターの中でも、川岸にあり、穀物の輸送にバージ(はしけ)を使用するものをリバーエレベーターといいます。

    ターミナルエレベーターは20万トン前後のサイロで、輸出用では50万トン規模の物もあります。ニューオリンズなどの輸出港、シカゴ、セントルイスなどの穀物加工地、中継地にあります。特に港にある輸出用のものは船積み用の施設を持ちポートエレベーターと呼ばれます。また、内陸部にあるものは鉄道、トラックへの積み込み用の施設を持ちます。

    穀物メジャーと呼ばれるカーギル、コンチネンタルグレイン、ブンゲ、ドレィファス、ガーナックなどの企業がこれらの穀物サイロを所有、もしくは系列としており、大豆の集荷、輸送、輸出をしています。また、カーギル、コンチネンタルグレイン、ブンゲなど、大豆搾油工場を経営する会社もあります。

    日本への輸送には、2-3.5万トンのハンディ級の船と、5-8万トンのパナマックス級の船が使用されます。日数はニューオリンズ(ガルフ)から日本へは30-35日間、ブラジルから日本へは40-45日間かかります。

    日本の港の穀物サイロに荷揚げされたものが未選別品で、食用大豆はさらに葉や皮などのゴミや半割れのものを取り除き、麻袋に詰められて流通します。

    国内では商社-1次問屋-需要家へと流通します。規模によっては直接商社から販売されたり、あいだに2次問屋が入ることがあります。

    輸送面では海上運賃の推移が重要視されますが、米国内での輸送では河川が多く使用されるので、河川の運行状態もあわせて注目されます。

  5. 変動要因

    大豆の価格を決定する第一の要因は需給です。1972年のエルニーニョ被害と翌年の米国の輸出制限が重なった年の高騰など、需給のひっ迫は必ず価格に反映されます。

    穀物は工業製品などと違い基本的に消費される量が決まっているので、需要があまり大きく変動することはありませんが、需給相場期(10月頃~翌3月頃)には米国の輸出動向や圧搾動向に注目が集まります。一般的に寒波の時には家畜の飼料需要が増加します。また、競合する他の食用油の需要が大豆油にシフトすることや、その逆もあります。総じて価格が高騰している場合には需要が減退することがあります。

    供給に関する変動要因は需要よりも注目され、変動幅も大きくなります。特に作付面積、天候、在庫率が重要視されます。病虫害の発生で品質懸念や輸出規制が敷かれることもあります。

    作付面積は大豆価格と天候によって変わります。大豆価格がコーン価格に比べて割安になればコーンの作付が増えて大豆の作付が減少します。また、コーンの作付が長雨で遅れると、代わりに大豆が作付されて大豆の作付面積が増加します。政府の農業政策も農家の作付意欲を左右します。

    天候は作付から収穫までの全期間で影響を与えます。一般的には長雨より高温乾燥天候の影響の方が深刻ですが、河川の増水や氷結によって穀物の輸送に障害がでることもあります。

    在庫率は需給バランスを示すものなので重要です。在庫の数量によって、ほかの要因が増幅されたり縮小されたりします。

    また、輸入される物品なので為替の動向も注目されるほか、大豆と競合する商品として、コーン、小麦、大麦、ライ麦などの穀物や、菜種、パームなどの油糧種子の価格動向が重要視されます。

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