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商品別基礎知識【灯油】

灯油の基礎知識

  1. 商品特性

    灯油は原油を330-350度で蒸留・分離することで作られる無色透明の液体で、原油の産地や品質で若干異なりますが、だいたい原油の1割ほどが灯油になります。

    灯油には高い品質基準が設定されているため、原油から分離された後、さらに成分が調整されます。家庭用暖房として使われる灯油は、硫黄分が80ppm以下で、匂いは少なく、優れた燃焼性を持っており、世界でも最高の品質とされています。またガソリンと同様に、「環境」「安全」「性能」の品質が求められ、「揮発油等の品質確保等に関する法律(品確法)」で強制規格と標準規格が、日本工業規格(JIS)でK2203の1号が定められています。中でもJISの規格がもっとも厳しく、東京工業品取引所に上場されるのもこの基準を満たしたものです。

    灯油は現在では照明用として使われることはあまりありませんが、暖房用としては不可欠のものです。特に寒さが厳しい北海道の生活に灯油は欠かせないものです。一方、欧米では暖房用燃料として、石炭や天然ガスも使われているため、日本ほど灯油のシェアは大きくありません。

    今後、灯油エアコンやコージェネレーションの燃料として、1年を通しての利用拡大が期待されている燃料です。

  2. 需要

    灯油は暖房用需要が全体の7~8割を占めていますが、これは灯油が燃料として、経済的に優れた性質を持っているからです。そのために、特に大規模な暖房が必要とされる北海道での消費は著しく、北海道だけで、東京都と千葉県と神奈川県を合わせたのに匹敵する灯油需要があります。また、冬の灯油使用量は夏のほぼ5倍もの量になります。そのため、夏の間に生産された灯油が冬場に備えて油槽所などに貯蔵されていますが、予想を上回る厳冬や、逆に暖冬になった場合に需要が急変することがあります。また、冬の需要期に向けて、秋口から在庫の積み増しが行われる傾向があります。

  3. 供給 日本の製油所

    日本の灯油供給は、元売の販売姿勢に大きく左右されます。また、石油製品全般に言えることですが、連産品という特徴のため、他の石油製品の生産が増減すると、灯油の生産量も合わせて増減する傾向があります。

    近年では原油ではなく、直接、灯油などの石油製品を輸入することもできるようになっています。しかし、日本の製油所の高い処理能力と技術や、原油タンカーよりも製品タンカーの方が規模が小さくなり輸入コストが高くなることなどから、輸入の伸びは限られており、国内の需要全体に対して、灯油の輸入の占める割合は1割程度に留まっています。

  4. 流通

    輸送コストを削減するために精油所は北海道から沖縄にかけて国内に広く設置されています。精油所の蒸留装置から製造された灯油は、タンクローリーや内航船などを使用して、SS(サービス・ステーション)などの小売店に運ばれます。原油から灯油など特定の製品だけを製造することはできず、余った製品や足りない製品を調整するために業者間での転売(業転取引)が行われてきました。最近ではさらに系列外への製品の販売も増加しています。

    灯油はタンクローリーで移動しながら販売することも可能で、SSから燃料商、酒屋や米穀店、農協など多様な小売りが存在します。そのため、石油元売り会社から特約店などを経由して流通の形態も多様です。北海道に本拠を置く生協と元売りの間で毎年決められる生協価格は有効な指標の一つとなりますが、灯油流通の多様性から、その指標性は割り引いて考える必要があるということがいわれています。

    小売では1リットル単位もありますが、かつて一斗缶単位(18リットル)で取引されていた名残により、18リットルで販売されるケースも多いようです。

  5. 変動要因

    灯油は、暖房用の需要が大部分を占めることから、夏場の不需要期よりも冬場の需要期に価格が上昇する傾向があります。灯油価格は、石油危機時に原油の高騰が家計に打撃を与えないように、政府主導で価格誘導が行われたことや、ガソリン税や軽油税のような特別な税が課税されなかったことから、ガソリンや軽油に比べて割安な価格水準で推移してきました。ただ、特石法廃止の影響で、国際的な価格体系に合わせて、ガソリン価格が引き下げられ、灯油価格が引き上げられたため、今日では、ガソリンの税抜き価格と灯油価格の差は無くなってきています。

    灯油は原油から生産される石油製品であるため、当然原油価格の動向に影響を受けます。また、原油を輸入する際には、キロリットル当たり215円の原油関税と、2,040円の石油税が必要となります。さらに原油から製品への精製コストや、流通コスト、各段階での備蓄コストが必要となります。

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