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商品別基礎知識【コーン】

とうもろこしの基礎知識

  1. 商品特性

    トウモロコシは小麦、コメと並ぶ三大穀物の一つで、様々な用途に利用されます。ほとんどが家畜の飼料用に使用されますが、異性化糖や、アルコール、コーンスターチ、種子用などへの使用もあります。その需要・供給とも米国が最大となるため、その需給関係や輸出の状況が市場に大きな影響を与えます。

    近年では環境への対策から、コーンを使ったエタノール燃料やプラスチック状物質の開発が進められています。また、バイオ技術の進展から虫害に強い品種なども作られ、今後の動向が注目されています。

  2. 需要

    米国のトウモロコシ需要の中心は飼料用で全体の6割前後を占めます。この分野はある程度代替が可能で、競合商品としてマイロ、麦、大豆粕などが上げられます。しかし、原料として使用される量はトウモロコシが圧倒的に多いため、完全な代替は望めません。

    近年、エタノール需要の高まりにより、エタノール用を含む加工用・工業用需要は輸出用需要を大きく上回り、全体の37.8%を占めます(2006年)。残りが輸出用となります。加工用・工業用にはコーンスターチ、アルコール(工業用のエタノールと、割合は少ないがバーボンの原料として)、異性化糖、種子用などに使われます。この分野の需要は比較的安定しているのが特徴で、価格によって需要量が変化することもなく堅調に推移しています。

    日本は世界最大のトウモロコシ輸入国です。全世界の輸入総量に占める日本の割合は約4分の1に達します。あと主要輸入国としてEUCISなどが続きます。最近ではアジアの需要が拡大しています。特に中国は人口増加と生活水準の変化に伴って消費を増やしており、その作柄が良ければ輸出し、悪ければ輸入するためにその動きが注目されます。また中国については将来的にコーンの輸入国に転落する可能性も指摘されている。

  3. 供給

    世界最大のトウモロコシ生産国は米国で世界生産の3分の1以上を生産しています。世界のコーン輸出における米国の割合も過半数を占めています。あと、中国、南米、ヨーロッパなどトウモロコシは世界の幅広い地域で生産されています。

    米国コーン州別生産高ベスト5

    米国の産地はその名の通り、コーンベルト地帯に集中しています。特にアイオワ、イリノイの2州は代表的な産地として知られています。市場に出回るトウモロコシはコーンベルト地帯のもので、その他の地域では家畜の飼料としてほとんどが自家消費されます。

    ミシシッピ川の東側(コーンベルト東部)のイリノイ、インディアナ、オハイオ、ウィスコンシン、ミシガンの各州では五大湖やミシシッピ川、イリノイ川、オハイオ川を利用した水上交通が盛んで、ニューオーリンズ港まで輸送されます。また、飼料工場やコーンスターチ工場も多く、輸出や販売を意識した農場経営がされています。

    ミシシッピ川の西側(コーンベルト西部)のアイオワ、ミズーリ、ミネソタ、ネブラスカ、サウスダコタの各州には畜産農家が多く自家消費が中心でしたが、近年では鉄道を利用して西海岸のシアトルやポートランドに輸送されるようになり、商業生産が促進されました。

    作付は4月中旬から6月初旬にかけておこなわれます。ただ、6月に入ってからの作付は秋に入って早霜の被害を受ける可能性も増加します。華氏60度が理想的な気温で、華氏50度以下では発芽は難しいとされます。この時期の長雨は作付遅れにつながり、大豆の作付に転換される例も出てきます。また、早期には遅霜による被害にも注意が必要です。

    6月にはタッセリング(雄花の発達)があり、翌月にはシルキング(雌花の発達)を迎えます。その後、7月中旬から8月上旬にかけてがコーンの生育にとって最も重要な受粉期で、十分な降雨と適切な湿度が必要とされ、高温は受粉の障害となります。

    受粉後、8月中旬から下旬にかけてミルク・ステージ(穀粒がミルクのような状態になる)を迎えます。さらに9月中旬にかけてドウ・ステージに入り徐々に穀粒が固まってきます。9月に早霜があるような場合、穀粒の成長が止まってしまうことがあります。この6月から8月までの時期は、産地の天候がもっとも注目されます。

    ドウ・ステージから約3週間で柔らかかった穀粒が歯のように硬くなります。基本的に乾燥した天候が望まれますが、降霜による被害は軽微な物になります。さらに2週間後、10月上旬から11月初頭にかけて収穫の作業が行われます。特に天候が注目されることは少なくなりますが、長雨で収穫作業が遅れることや乾燥不足によって品質が悪化することもあります。

    中国ではトウモロコシは広い範囲で栽培されています。華北(河北省、山西省、山東省、河南省)が中国全体の生産高の4割を占め、あと東北3省(黒竜江省、吉林省、遼寧省)、南西部(四川省、雲南省、貴州省)が続きます。栽培地域の広さから、作付期は3-5月、収穫期は8-10月中旬と長期に渡ります。

    ブラジルは毎年多くを生産しますが自国内の消費も多く、国際需給への影響力は限られたものになります。産地はパラナ州、リオグランデドスル州、サンタカタリナ州、ミナスジェライス州、サンパウロ州、ゴライアス州と広範囲に広がっています。

    アルゼンチンは国内で生産される内の6割超を輸出するため、生産量に対する輸出量の割合が大きいのが特徴です。産地はブエノスアイレス州、コルドバ州、サンタフェ州に集中し、作付期は20月、収穫期は3-5月となります。

    南アフリカでは主にトランスバール州とオレンジ州で栽培されています。作付期は10-12月、収穫期は4-7月となります。この地域は降水量が少なく、天候によって収穫量が大きく変わります。そのため豊作の時には余剰分を輸出し、凶作の時には不足分を輸入します。

    ヨーロッパの代表的な生産国はフランスで欧州全体の5割近くを生産しています。あとイタリア、スペイン、ギリシャが続きます。作付期、収穫期とも米国とほぼ同じです。EUは域内の農業生産を保護しているのでその政策が注目されます。

  4. 流通

    日本ではトウモロコシのほとんどをアメリカから購入しています。あと、中国やアルゼンチン、南アフリカなどからも購入していますが、生産の安定性から特にアメリカへの依存度が高いのが特徴です。実際の輸入は大手商社や全農が中心となり、多くの場合は国内の港湾施設に隣接した配合飼料工場で飼料に加工され、飼料メーカーの手を通じて全国の畜産業者に販売されます。

    日本への輸送には、5-8万トンのパナマックス級の船が主に使用されます。日数はニューオリンズ(ガルフ)から日本へは30-35日間、西海岸から日本へは15-17日間かかります。

    輸送面では海上運賃の推移が重要視されますが、米国内での輸送では河川が多く使用されるので、河川の運行状態もあわせて注目されます。

    米国内ではコーンの収穫時期は決まっていますが集荷時期は決まっていません。米国の農家は近年、先物市場の利用を含めて価格の動きに鋭敏となっていて、市場の価格に応じて売却の時期を選びます。そのため、短期の需給に対して農家の売却状況は注目されます。

    農家から出荷されたコーンは普通サイロに集められます。

    カントリーエレベーターは1,000-3,000トン程度のサイロで、穀物生産地帯に散在します。個人企業や農協組織、穀物メジャーなどが所有し、農家から穀物を直接買い取り、大規模なサイロに売却します。穀物の輸送にはトラックや貨車が使用されます。

    サブターミナルエレベーターは5-10万トン程度のサイロで、イリノイ河、ミシシッピ河の川岸や交通の拠点に位置しています。カントリーエレベーターやグレインディーラー(穀物仲買商)から穀物を買い取り、さらに大規模なサイロや輸出用サイロ、国内製油メーカーなどに売却します。また、サブターミナルエレベーターの中でも、川岸にあり、穀物の輸送にバージ(はしけ)を使用するものをリバーエレベーターといいます。

    ターミナルエレベーターは20万トン前後のサイロで、輸出用では50万トン規模の物もあります。ニューオーリンズなどの輸出港、シカゴ、セントルイスなどの穀物加工地、中継地にあります。特に港にある輸出用のものは船積み用の施設を持ちポートエレベーターと呼ばれます。また、内陸部にあるものは鉄道、トラックへの積み込み用の施設を持ちます。

    穀物メジャーと呼ばれる大規模な企業がこれらの穀物サイロを所有、もしくは系列としており、集荷、輸送、輸出をしています。

  5. 変動要因

    トウモロコシの価格を左右するのは第一に需給の関係です。近年、エタノール用需要が米国産トウモロコシの消費部門で急速に拡大しており、価格にも大きな影響を与えています。一方、米国産コーンの最大の需要先である飼料用に関しては、概ね一定の水準で推移しています。これは、コーンの代替品はありますが、消費量の多さや価格の問題から完全な代替はできず、家畜の頭数から必要量が決まってくるからです。飼料用に関しては、冬期は家畜が食べる量が増えるので、冬の厳しさと家畜の飼育数が注目されます。

    在庫率は需給バランスを示すものなので重要です。在庫の数量によって、ほかの要因が増幅されたり縮小されたりします。

    特に供給面で注目されるのは作付面積と天候です。病虫害の発生で品質懸念や輸出規制が敷かれることもあります。また、在庫率の変化も重要視されます。

    作付面積は作付期の価格と天候によって変わります。コーン価格が大豆価格に比べて割安になれば大豆の作付が増えてコーンの作付が減少します。また、コーンの作付が長雨で遅れると、代わりに大豆が作付されて大豆の作付面積が増加します。2006年度にはコーン価格が急騰し、大豆からの大幅な作付けシフトが起こりました。また、政府の農業政策も農家の作付意欲を左右します。

    天候は作付から収穫までの全期間で影響を与えます。一般的には長雨より高温乾燥天候の影響の方が深刻ですが、河川の増水や氷結によって穀物の輸送に障害がでることもあります。

    また、海外から輸入されるため為替の動向も注目されます。

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